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「未来」を生み出し続ける
スタートアップ・スタジオ

[Giant Pixel]San Francisco, USA

ジャイアント・ピクセルは「スタートアップ・スタジオ」の代表的な存在として知られている。スタートアップ・スタジオとは、一定規模の会社が母体となり、新規事業として次々とスタートアップを生み出す注目される組織形態。さながらスタートアップの「保育器」だ。長年にわたり、スマートフォンのアプリや各種プロダクトなど、さまざまなスタートアップのアイデアをテストし、見込みがあれば賭けに出た。

現在、代表のアラン・ブレイバーマン氏が注力しているのは「Textline」という会社。カスタマー・センター用のテキスト・メッセージ・サービスとして立ち上がり、やがてジャイアント・ピクセルから独立した。現在のオフィスには、それらジャイアント・ピクセル発のスタートアップと、場所をシェアするのみの小さなスタートアップが混在している。

 ブレイバーマン氏はこれまで、テック系企業の従業員、共同経営者、あるいは投資家としてシリコンバレーで20年もの間、仕事をしてきた。だがその間、自身のオフィスに満足したことはなかったという。たいていの会社は予算がなく、オフィスが十分にデザインされていなかったのだ。デザインよりもエンジニアリングが大事、まだそのように考えられていた時代のことだ。

 だがブレイバーマン氏は、iPhoneで世界を変えてみせたアップルを引き合いに出しながら、デザインこそが重要だと強調する。

 「もし成功する会社をつくるなら、そして自分のチームにデザインは重要だというメッセージを送りたいなら、自身のチーム用であろうとビジター向けだろうと、ビジネスパートナーまたは投資家のためであろうと、それをみんなに伝えるようなスペースを持つべきです」


建物外観。元は印刷工場だったが、ジャイアント・ピクセルが入居する前は空っぽの状態で、老朽化が激しかった。

  • O+Aがつくるワークプレイスの代名詞となったスペース「カバーナ」。少人数が膝を突き合わせて仕事ができるよう、スクエアで小さく仕切られた空間だ。

  • スタートアップらしからぬ、落ち着いた雰囲気。シリコンバレーで働いて20年以上が経つ、ブレイバーマン氏の経験値が関係しているかもしれない。

  • 地下のバー・スペース。日常のワークスペースとして利用されるほか、ミートアップや、近隣の会社との交流を深めるためのイベントなどにも使われている。

  • 受付のデスクは、伝統的なデザインとは一線を画す、彫刻のような美しさ。『スターウォーズ』のテーマ曲が刻まれた壁面(右手奥)が受付と待ち合いスペースを分けている。このフロアでは知り合いの企業にオフィスを貸し出している。

  • ブレイバーマン氏が凝っていた映画『スターウォーズ』のテーマ曲をコード化したというインスタレーション。オフィスのあちこちに『スターウォーズ』のモチーフが顔をのぞかせる。

  • ガラス張りの会議室。従業員間のコミュニケーションがとりやすい設計。視線をさえぎるものがないのは、執務スペースも同じ。

  • 執務スペース。美しいオフィスをアピールしたいのは、投資家よりも、ジャイアント・ピクセルが一緒に働きたいと思う有能な人材に対してだとブレイバーマン氏は言う。

老朽化した元印刷工場のビルに
感じられた未来

 彼は長い間、インスピレーションを受けられるようなオフィス空間を持つことを夢見ていた。その夢を叶えるきっかけは、ジャイアント・ピクセルを立ち上げて間もない頃、偶然発見した元印刷工場のビルだった。

 そのビルはそもそも、オフィス用の物件を探していた友人が業者に紹介されたもの。友人が「ここはダメだ」と言うほど老朽化していた。だが、その場に同席していたブレイバーマン氏の印象は違った。空っぽのスペースにこそ、未来を感じたのだ。「彼(友人)はクレイジーだ、このビルにはたくさんの可能性があるのに、と思いました」。そして前職時代に縁があったO+Aに声をかけたのだった。「O+Aは私たちにディスカッションをリードさせてくれました。私たちは途方もないリクエストをして、彼らはそれをどう組み込むか、方法を考えてくれました」

 完成したオフィスには、ブレイバーマン氏の美学が大いに反映された。例えば、それとわからない形で使用されている、映画『スターウォーズ』からのモチーフ。O+Aが手がけたほかのオフィスを見て「私たちも似たようなものが欲しい」と伝えたという「カバーナ」。

 「スペースをふんだんに使った場所があります。たくさんのものを詰め込むこともできるけれど、白い空間をゆったりと使って、意図的にものを並べることもできます。何が適切な表現かはわかりませんが、このスペースにはデザイン的な感性が存在しています。このスペースを見た人が、ここにあるものが機能的に並べられているのを見て、デザイン的感性をわかってくれるといいですね」(ブレイバーマン氏)

text: Yusuke Higashi
photo: Satoshi Minakawa

WORKSIGHT SPECIAL EDITION【Studio O+A】(2019.7)より



ジャイアント・ピクセル
パートナー
アラン・ブレイバーマン

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