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成長企業に「本社」機能を提供する
柔軟性の高い新サービスオフィス

[Knotel]New York, USA

ニューヨークを代表するコワーキング・サービスといえばWeWorkがあまりにも有名であるが、新しいアプローチで近年注目を集めている事業者がある。2015年に誕生した「Knotel」だ。現在、ニューヨークやサンフランシスコ、ロンドンに40カ所以上展開している。

ただ厳密に言えば、ノーテルはコワーキングスペースではない。WeWorkなど既存のコワーキングスペースが主に小規模の企業やフリーランス、学生たちに向けてデスクやスペースを提供するのに対し、ノーテルは、50人以上のスタッフを抱え、「本社」を探している会社を対象にサービスを提供しているのだ。

創業者でありCEOのアモル・サルバ氏はこのように語る。「過去にオフィスを運営した経験を通じ、企業のサービス自体はスピーディであっても、その企業の本部機能がそうでないことがあると気がついたのです。各社のCEOが本社のリースに費やす時間と資金を観察し、伝統的な不動産問題にとらわれずに育つ手助けをすることにビジネスチャンスがあると思いました」。そうして2015年、現在は会長職にあるエドワード・シェンデロヴィッチ氏とともにノーテルを創業したのだ。

「通過点」ではなく「拠点」を提供する

事実、商業不動産市場における古典的なリース契約は成長中の企業にゆとりを与えてくれない。長期リースを強いられるために、企業はビジネスゴールよりも不動産契約の制限に縛られてしまうのだ。各企業は適したオフィスを見つけるために数週間から数カ月の時間を費やしており、1平方メートルあたりのコストは数百ドルにのぼるとか。ノーテルではクリックひとつであらゆるロケーションにアクセスすることができ、潤沢な物件の中から短期間、低コストで本社オフィスを探すことができる。

いわゆるコワーキングスペースが企業に対してスペースを提供する場合によく見られるのが、一つのフロアに20社以上の企業が集まり、Wi-Fiなどのリソースを共用で使用するような様子。ただサルバ氏は「そういった企業は、サテライト・オフィス(支社)としてコワーキング・スペースを利用するのがほとんどです。私たちはあくまで本社機能を提供しています。そのため、Wi-Fiなどのリソースは企業ごとに最適なものを特別に用意します」と言う。一般のコワーキングスペースが企業にとっての通過点なのだとしたら、ノーテルの提供するスペースはその企業にとって「拠点」となるのだ。この違いは大きい。

マンハッタン内のハイエンドなビルに拠点を数多く構えている。取材したのは「ハロルド・スクエア支部」。
https://knotel.com

  • オーダーメイドシャツを販売する「STANTT」。

  • 同じく「STANTT」のオフィス。多数の商品を置ける収納スペースもオフィス内に設けられていた。

  • デジタルソリューション・プロバイダー「UsableNet」のオフィス。

  • 同じく「UsableNet」のオフィス。こちらの企業はオフィス内にソファ・エリアを設けていた。

  • オフィス中央に設置された共有のキッチン・エリア。オフィス空間はオーダーメイドで作られるが、このエリアはソファやカウンターキッチンなどが置かれ、インフォーマル・コミュニケーションの場として機能していた。

  • メンバー・エクスペリメント・マネージャーが常駐。入居企業に対してさまざまなサービスを提供している。

  • 共用で使えるフォン・ブース。ミーティング・ルームなども完備。

  • ビルのエントランス。入居する企業の信用を高めてくれる重厚な雰囲気だ。

入居企業の要望に合わせた
完全オーダーメイドのオフィス

ノーテルの中を見回してみると、その違いは明らかだ。エレベーターで各フロアに降り立った時、見えるのは使用する各企業のカルチャーを活かしたオフィスで、何一つとして同じ見た目のオフィスは存在しない。ノーテルと契約を結んだ企業にはノーテルからデザイン担当者、建築担当者が個別にアサインされ、新しいオフィスに何が必要なのか、どんな看板を使うのか、壁の色はどうするのか、など全過程において関わり、300名程度までのオフィスであれば最短で3週間でオフィスが仕上がる。オーダーによっては、特注の素材、塗料もちろん使う。企業の要望に合わせてオリジナルのオフィスを作り上げるのだ。

「企業は、自分たち自身のスペースを作れるということ、それに加えて柔軟性を求めてノーテルにやって来ます。私たちは各社の具体的なニーズに合わせてデザイン、機能、サイズのすべてを完全にカスタマイズすることができます」(サルバ氏)。つまり、顧客自身にオフィスを徹底的に変貌させ、自社の文化を適用させる能力を提供するのがノーテルの強みなのだ。

成長中の企業であれば人員の増減は当たり前のこと。そのような状況で、最初の契約に固執してスペースを制限することもない。デスクの数も会議室の数も微調整させることができるのだ。これもすべて、入居する企業がオフィス・マネジメントのことを心配せずに業務に集中できるようにとの配慮である。

「もう、ノーテルから出て行くつもりはない」

また、ノーテルにはメンバー・エクスペリメント・マネージャーと呼ばれるスタッフが各フロアに常駐しており、各企業の日常のニーズに対応する。イベントの手配やIT機器のセットアップのみならず、フロアの冷蔵庫の管理、照明の保守、毎朝のコーヒーの準備までしてくれるというから、忙しい企業にとってはとてもありがたいサービスだろう。

WeWorkなど、ほかのコワーキングスペースからノーテルに移ってきたメンバーの中には、「もう、ノーテルから出て行くつもりはない」という確信に満ちたフィードバックを得ることもあるそうだ。

柔軟性の高いオフィス・スペースとして既にニューヨークで3番目の規模にまで成長したノーテル。サルバ氏曰く、今後の5年間でボストン、シカゴ、東京、上海に拡大する計画があるそうだ。旧弊を改め、新たなビジネスモデルを作り出した、その勢いは止まらない。

text: Yuki Miyamoto
photo: Ryo Suzuki

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