このエントリーをはてなブックマークに追加
case_hok_main

多彩な専門分野のプロ達がオープンに魅せあうショーケース

世界トップクラスの建築設計事務所

[HOK London]Camden, London, UK

  • 業務の高度化・専門性深化に対応できる組織作り
  • 「社内エキシビジョン」で個々の専門性を磨く
  • グローバルで複雑な課題を解決できる組織へ

3年前、オックスフォード・サーカスにあった前オフィスの更新時期が近くなったとき、HOKロンドンでは「コラボレーションのスペースが手狭になった」という声が大きくなっていた。

コミュニケーションを密にとることは、HOKグループが重視するカルチャーであり、世界25カ所の拠点すべてに浸透している。広いコラボスペースはもちろん、予約なしで気軽に使える小規模のミーティングスペースを求める声も強かった。

同時に、「壁のスペースを増やして欲しい」という意見もあった。「作品のディスプレイをクライアントや他チームの社員の目につく高さに置ける、ショーケースのようなものが必要」とも肌で感じていた。

中庭のようなオープンスペースがあるオフィス

コラボレーションが求められる背景には、都市計画や複合施設で設計に求められる役割が多様化していることや、国や都市ごとに建築基準が年々厳しくなっていることが大きい。

現在のオフィスに移る決め手となったのは、中庭のようなオープンスペースの存在だ。予約不要で打ち合わせや外部刺激を受けながらのアイデア出しができる空間として活用し、隣接するキッチンと併せて、インフォーマルな交流を促せると感じた。机を片付ければ多目的のイベントスペースにもなる。

実際、移転後には、このオープンスペースで顧客を招くエキシビションが、社内に刺激をもたらしている。

2011年は空港の仕事が多かったことにちなみ、「HOKエアウェイズ」というテーマでこの場所に架空の空港を再現した。床に飛行機の滑走路を作って、チェックインエリアとセキュリティゲートを設置、「HOK共和国」と書かれたパスポートや搭乗券なども実物そっくりに準備した。

イベントは日頃の感謝を示すパーティであるだけでなく、演出はすべて社員の手作りで行い、スタッフの独創性と技術力を存分にみてもらう意図がある。なにより、このイベントに向けた共同作業のなかで、社員同士がお互いの専門性を確かめられるようになったのだ。

HOK Londonは1987年に欧州本部としてロンドンのホルボーンに設立された。
創業:1955年(アメリカで創業)
売上高:約4億7400ドル(2010年度)
従業員数: 約1700人
拠点:11カ国・25支社
http://www.HOK.com/

2011年に催された「HOKエアウェイズ」の様子。従業員はパイロットやキャビンアテンダントに扮し、クライアントをもてなした。

  • ボードルームは役員会議室としての用途以外にクライアントへのプレゼンなどにも使われる。

  • 社内いたるところに、進行中のプロジェクトの設計図やミニチュア、資料が貼り出される。こうしたピンナップに「ここはこうしたほうがいいかも」と、社員がコメントを書き込む。

  • ミーティングルームは、2~3カ月ごとにリニューアルされる。インテリア部門のプロジェクトで、革新的なデザインを提供するための実験を行っている。

  • ブレイクアウト・スペースに隣接したキッチン&ライブラリ。コーヒー片手のアイデア交換は日常的に行われている。

高い技術を磨き続けるからこそ
難しいプロジェクトに挑戦できる

社員は部門に所属しているが、仕事はプロジェクトベースで進むため、チームの大きさやフェーズに合わせて自席が常に移動する。また、同時に複数のプロジェクトに関わっているため、相手や目的によって仕事をする場所も変わる。

HOKはITインフラ設計に強く、オンラインによる相互コミュニケーション環境に力を入れており、それにより高度なリソース管理が可能になっている。人が絶えず動き、多様なスキルを刺激しあう中で、インスピレーションがわく。

HOKの社員が複数のプロジェクトに所属したがるのは、違う国や分野の案件に関わることで経験知が高まるからだ。共同作業をするとき、社員同士で”NO”を言わない。

専門スキルに対する社員の意識は高く、採用にあたっては、チームメンバーも面接に同席し、専門スキルはもとより、自分たちのカルチャーに合った人材であるかも含めて判断している。

HOKの創業者、ヘルムース、オバタ、カッサバウムの3人はいずれもアメリカを代表する建築家だ。ヘルムースは、ニューヨークの世界貿易センタービルを設計したミノル・ヤマサキと共同事務所を構えていたが、ヤマサキは病気のため共同経営者を辞任。旧知のオバタ+カッサバウム事務所とヘルムース氏を引き合わせた。3人はすぐに意気投合、HOKの設立を決めたという。

オフィスの中心にある「ブレイクアウト・スペース」。社員たちが日頃アイデア出しやコラボレーションを行う場であり、イベント会場としても使われている。

360°View

オフィスの中心にある「ブレイクアウト・スペース」。社員たちが日頃アイデア出しやコラボレーションを行う場であり、イベント会場としても使われている。

※画像をタップすると360°スライド表示が見られます

専門家チームで成長分野に進出する
マネジメントとカルチャーの工夫

HOKロンドンがプロジェクトに対して高いチームワークを発揮できるようになった背景には、マネジメントの工夫もある。

定期的にオフィス空間の検討を行って最適な配置を調整することや、人材を含めたリソースの管理について毎週ミーティングを行い、それぞれのプロジェクトチームが仕事量について融通をしあうことを徹底している。

そうした積み重ねの結果、業績は右肩上がりを続けており、HOKグループ全体でみると、ヨーロッパ信用不安などの影響を受けつつも、アジアやインド、中近東などの成長エリアで活躍の場を着実に広げている。

2012年はHOKロンドンの25周年に当たるため、「健康」というテーマで記念パーティが開かれる。「25歳はまだ若手、活力があって健康体、という意味も込めてテーマを選びました。去年、HOKエアウェイズでフライトアテンダントだった人が、今年は医師や看護師になる予定です」(ロブ・ファースさん)。自分たちの技術をショーケースで発信するカルチャーは今後も同社成長の鍵となる。

WORKSIGHT 02(2012.6)より

HOKは、ロンドン市街とヒースロー空港を結ぶヒースロー・エクスプレスやドバイ・マリーナなど、世界的な建築物を手掛けている。写真は、アゼルバイジャンの首都バクーのランドマーク、「フレイム・タワー」。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

RECOMMENDEDおすすめ記事

つながりから“未来”を学び続ける

[Royal Dutch Shell]Amsterdam, Netherlands

「観」の目で関係性をリ・デザインする

[太刀川英輔]NOSIGNER代表

開かれたコミュニティとしてのオフィスをつくる

[田川欣哉]株式会社タクラム・デザイン・エンジニアリング 代表/デザイン・エンジニア

TOPPAGE