- 居心地のよさと外からの刺激が共存する職場をつくる
- 社員主導で多目的スペースを企画、活用する
- 顧客や社員が来たくなるような会社を実現できた
サマルカンドという名称は、社員からの公募で決められた。「ある日、新しくできる多目的スペースに名前をつけるのでアイデアがある人は応募してください、と一斉メールが送られてきた。僕も応募したけれど落選してしまった」と社長の出口さん。若手社員を中心に命名委員会が"自主的"に発足し、ほとんどの社員が賛同。「民族の十字路として世界とふれ合う接点となる」というコンセプトも決まった。
住宅がそこに住む人の考え、生き方を反映するように、オフィスもそこで働く人の考え、雰囲気を形にするべきもの、と出口さんは考える。だから、新しい多目的スペースのプロジェクトも社員の当事者意識に委ねた。「最初は打ち合わせスペースが不足しているので新たに増床するという話だった」と語るのは総務部の堤さんだ。
「デザイナーの方と20回くらい図面を作り直してもしっくりこない。でも、たまたま見に行った他社の多目的スペースでピンときた。こういう場所があると、こんな働き方ができる。うちの会社らしい働き方を実現できる空間をつくりたくなった」。それまでの図面にあったパーティションは取り払った。区切らない空間の中に、いろいろな要素を同居させ、かつ全体に統一感を持たせることにこだわった。「コストはかけられないので什器はすべて中古。でも色や形は違っても調和するように選んだ」(堤さん)。
実際、サマルカンドに一歩足を踏み入れると、不思議な居心地のよさに包まれる。それは単一の価値観に編集されたスマートさではなく、多様な価値観がうまく同居するバランスのよさだ。「社員が弁当を食べたり、チームミーティングをする横で、パートナー企業との打ち合わせや、勉強会が同時に行われていたりする。それがお互いに邪魔にならず、適度な刺激になる空間になった」(堤さん)。
ちょうど会社が大きくなってきて、「創業当時ほどコミュニケーションが円滑でなくなったと感じる社員もいたタイミング」(堤さん)だったという。サマルカンドはこの課題に空間インフラの工夫から、しかも社員のオープンプロセスによってアプローチできた好事例といえる。
入居している本社ビルのフロアを増床して作った多目的スペース「サマルカンド」。社内公募で名付けられた。サマルカンドは、シルクロードのオアシス都市で、文明の交差点として知られる。サンスクリット語で「人々が出会う場所」という意味もある。
サマルカンドに設置されたカウンター。もともと外資系銀行で使われていた受付台だ。幅270cm×奥行50cm×高さ110cm。「日本から撤退する外資系銀行が捨てるというので、ただ同然でもらってきました」(堤さん)
ガラス越しに見えるのはシステム部のオフィス。壁面の鏡とガラスが部屋全体に明るい印象を与える。普段は打ち合わせや休憩などに使われるが、セミナーや社内勉強会、契約者との「ふれあいフェア」などイベント時には会場として使われる。


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同社の生命保険は2011年12月に10万件を突破。「プロが選んだ自分が入りたい保険ランキング」で1位を獲得するなど、商品自体に対する評価は高く、「不透明で親しみづらい」という従来の生保のイメージをくつがえした。
勉強会やセミナーは社員が自発的に行っている。また「楽しく働く」ための部活動も盛況。フットサル部、水泳部のほかにおいしいカレーを食べにいくカレー部や、サマルカンドを使ったヨガ教室もあるという。

3カ月に1度、契約者をオフィスに招く「ふれあいフェア」を実施している。業績の説明や今後の事業計画を説明、顧客の声を聞き続ける。「生命保険はかたちのない商品。しかもネット企業だから、基本的に契約者と触れ合わず機械で商売をしている。しかし、機械は人間に勝てない。会社のロゴが人の顔になっているのは、そういう自戒を込めているから。仕事の本質は、人と人のやりとりなんですよ」。
