このエントリーをはてなブックマークに追加
workplace_hellofresh_main

世界中の優秀な人材を引き寄せる
エゴを持たないカルチャー

食材宅配サービスを展開するスタートアップ

[HelloFresh]Berlin, Germany

  • 急拡大する中でも企業カルチャーをすみずみまで浸透させたい
  • 新たに入社する人材にとってなじみやすい環境を作る
  • 優秀な人材が世界中から集まり、年率400%の成長を続ける

ドイツ、ベルリンで昨今、注目を集めている企業がある。レシピ付きの食材宅配サービスを運営するHelloFreshだ。特定のレシピに合わせた食材、調味料を必要なだけの分量で宅配するサービスで、買い物をする時間や献立を考える時間の取れない人を中心に人気を集めている。

年率にして400%もの成長を遂げている同社。2015年5月時点でベルリンにいる社員が60名だったのが現在では250名に増え、世界では合計1500人が働くなど急拡大中だ。これだけの勢いで企業が大きくなれば、それまでは気にならなかったことが問題になることもある。HelloFreshもやはり、人事面の課題に直面した。

2015年からグローバル人事担当責任者として入社したジュリアン・ラーケン氏(以下、ラーケン氏)はこのように語る。「いまは3つの点を強化すべく、人事戦略を立てています。人材の獲得と採用、勤怠管理や給与面などの総務面、社員のエンゲージメントです。現在は7カ国に拠点があり、採用は基本的に各地に任せていますが、特に重要なポジションは本社でもサポートしています。これはあくまで個人的な意見ですが、能動的に行動できる、そのポジションのエキスパートを採用するようにしていますね」

「HelloFreshのカルチャーにフィットするかどうか」を重視

人事部門においてラーケン氏を支えるフレヤ・エレン・ステファン氏(以下、ステファン氏)は、さらにこう付け加える。「現在では40以上の国籍の社員がいますから、HelloFreshで一緒に働くためには私たちのカルチャーにフィットするかどうかも重要です。他者を大切にし、チームワークを大事にする。私たちは『エゴを持たない』という言い方をしています」

「カルチャーを大切にする」との言葉の通り、HelloFreshではユニークな取り組みが行われている。例えば、新入社員は入社初日から社員全員に温かく迎えられる。出社すると、デスクの上には小さなギフトボックスが置いてあり、そこにはHelloFreshのエプロンが入っているのだという。「初日はずっと、そのエプロンをつけてもらいます。そうすると『ああ、あの人が新入社員か』とわかって、周囲も話しやすくなりますよね」(ラーケン氏)

「隔週の金曜には、ハングリーフライデーというイベントがあり、そこではランチを食べながら会社の最新情報を共有したり、新入社員を紹介したりします。自己紹介の際には『One Fun Fact』といって、自分に関するおもしろい点を話してもらうようにしています。『自分を野菜にたとえたら』というテーマでも話してもらいますが、お互いを知るのに有効な手段だと思いますよ。

HelloFresh外観。

創立:2012年
社員数:約1500人
http://www.hellofreshgroup.com

人事部門の責任者であるジュリアン・ラーケン氏(右)と、同じく人事部門のフレヤ・エレン・ステファン氏(左)

  • HelloFreshの心臓部とも言える、キッチンスペース。社員間のコミュニケーションも多く、同社にとって重要なスペースである。

  • 同じくキッチンスペース。正月に向けた新しいレシピを開発するための会議が行われている。壁の「HAPPY NEW YEAR」は、正月の雰囲気を出すために飾り付けられたもの。

  • そこかしこでフランクな打ち合わせが行われている。

  • 社内はどこを見てもオーガニックな雰囲気で統一されている。

  • どんな人がどんな部署で働いているのかがひと目でわかる掲示。

  • 建物はもともとパン工場。天井の高さにその名残が見える。

  • オープンに作られた執務スペース。

  • 上層階は日当たりが悪く、ごちゃごちゃして見えるが、実は各部門の責任者が集まるフロア。役職の高い者ほど、自ら進んで環境の悪い場所を選ぶのがHelloFresh流。

HelloFreshを、
世界に通用するブランドに

カルチャーを浸透させるためのイベントは、他にもある。料理撮影の様子を見学したり、物流センターを訪れて物流の仕事を学んだり、ダイレクトセールスの様子を見学してプロモーションの仕事を学んだり、自己の業務では見られない現場を体感する。こうした取り組みを通じて、普段直接交流のない社員同士のコミュニケーションを促進させるのが狙いだ。ステファン氏の企画で、ヨガ教室やドイツ語教室も行われているそう。「海外から来る社員が多いこともあり、ドイツ語教室は特に人気がありますね」(ラーケン氏)。変わったところでは、「ブラインドデート」という取り組みも。ランダムに選ばれた社員同士が一緒にランチをとるというもので、コミュニケーションの促進に一役買っている。

こうしたカルチャー面だけでなく、外国人の社員のためにビザを取ったり、住居を用意するなどのハード面のサポートも、もちろん充実している。いずれも応募者が安心してベルリンに来ることができるように整備した仕組みだ。

週末に新入社員を連れてベルリンの街を案内する『Explore Berlin』というイベントも行われています。HelloFreshのカルチャーを知ってもらうことはもちろん大切ですが、これから働くベルリンの街についても知っておいてほしいですからね」(ステファン氏)

これほどまで世界中から人材が集まるHelloFreshが拠点を置くベルリンという街にはどんな魅力があるのだろう。「ベルリンには、多くのユニークなレストランやマーケットが集積しており、飲食業界全体が盛り上がっています。しかも、他の大都市と比べると手頃な価格で提供されているのです。2016年の夏にTech Open Airが開催されたように、ベルリンはインスピレーションで溢れています。テック関連のスタートアップに適した場所だと言えるでしょう。ヨーロッパにおいて社会的に安定しているという点も、海外からの人材が集まる理由かもしれませんね」(ラーケン氏)

ネットワーキングで経営課題解決

「さらに、私たちのようなレベルの企業にとっては、ベルリンにおけるネットワーキングはとても大切な手段です。ベルリンにはコワーキングスペースがたくさんあり、いくつかのスタートアップがその場を共有するということもよくありますよ」(ステファン氏)。実際、HelloFreshにもそうした例はあるそうだ。

ラーケン氏は言う。「HelloFreshのソフトウェア開発者のチームは、1年前は8名でしたが、現在では80名になりました。8名の頃はチーム全員が集まって議論することも容易でしたが、80名ともなると、そうはいきません。成長することはありがたいことですが、それによって戦略やマネジメントの面で問題が生じてきてしまいます。そこで我々のCTOが相談したのが、近くにあるZalando(ザランド。ベルリンに本社を置く、アパレルに特化したECサイトを運営する企業)のCTOです。ザランドも比較的新しい企業ではありますが、私たちの数年先を走っていますからね。社外との情報交換はベルリンでは一般的なことですよ」

あえて「完璧」を目指さないオフィス

そのような考え方は、オフィス選びにも表れている。現在のオフィスは創業から数えて5カ所目。同じビルにWooga(ウーガ。世界でも有名なモバイルゲーム企業)が同居しているなど、テック企業が数多く集まっている。入居当初はフロアの隅を借りていたが、現在ではHelloFreshのスペースはフロア全体にまで拡張された。

かつてはパン工場だったということもあり、天井の高さなどにその名残が見て取れる。「この雰囲気がかっこいいですよね」とラーケン氏は言う。「現在のオフィスは決して完成しているとは言えませんが、私たちとしては、完璧を求めないことを重視しています。ものすごいスピードで成長していますから、チームも頻繁に変わります。いつでもフレキシブルにレイアウトを変更できることのほうが大事です」

シリアスな雰囲気にしすぎないことも重要なのだそうだ。「オーガニックで居心地のいい空間を作ることを目指しています。そのために、自然の材料を用いること、スペースに遊びがあること、オープンで親しみやすい雰囲気を作ることが大切ですね」(ラーケン氏)

今後は、ビジネスを展開している全ての国において事業の習熟度を高め、個人のさまざまなニーズにも応えられるようにしたいというHelloFresh。ここベルリンを世界への発信基地に、「5年先にはさまざまな関連商品をオンラインで販売し、新鮮な食材を扱うブランドとしての地位を確立させたい」とラーケン氏は睨んでいる。

コンサルティング(ワークスタイル): 自社
インテリア設計: 自社
建築設計: 自社

text: Yuki Miyamoto
photo:Tamami Iinuma

新入社員紹介イベントの告知。全社を挙げて新入社員を歓迎している気持ちが見て取れる。

オフィスの一角では、過去に開発してきたレシピの数々が展示されている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

RECOMMENDEDおすすめ記事

TOPPAGE